【コーヒーを知る旅 その3】収穫・精製・焙煎のワークショップ「From Seed to Cup3.0」

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生産過程を知ることの意義。

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コーヒーを好きになって変わったこと。それは"こだわる"ことでしょうか。

"こだわる"という言葉は元来、ネガティブなニュアンスで使われていました。価値観が多様になった現代になって使い方が変わり、「こだわりのコーヒー」など宣伝文句や褒め言葉としても使われるように。たしかに、こだわりは時に執着を生んで、新しいことへのチャレンジや、違った世代の風習を受け入れ難くすることも。江戸時代から使われ始めたこの言葉は、後者のニュアンスが強い意味合いで使われていました。ただ個人的には、こだわりが増えると物事への造詣が深くなって、人生を豊かにするきっかけにもなると感じています。

少し前の話になりますが、沖縄コーヒー園の収穫(一次産業)、精製と焙煎(二次産業)のワークショップを受けました。経済学風な造語にして「From Seed to Cup3.0」なんてキャッチーにしたくなる素晴らしい体験でした。

間が空きながら続けたシリーズですが、沖縄県国頭郡にある又吉コーヒー園のワークショップ完結編です。

収穫と加工体験をする「From Seed to Cup3.0」

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子供の頃に遠足でいったさつまいも掘り、地域によっては農業体験など。教育の場では一次産業を体験することが、カリキュラムの一つとしてありますよね。これは大人になってもとても大事なこと。

産業社会によって不足なく供給される食料や洋服たちは、貨幣経済の仕組みによって簡単に手に入りモノの有り難みが薄くなっていると感じます。僕がコーヒーカルチャーに惹かれる理由は、未来にも続く人間社会や文化にするため、自然から働くひとの環境までをサスティナブルにする概念があること。

こだわりを持って生活することは、大きく見方を変えるとただの個人のエゴです。ただ昨今のカルチャーは(コーヒー以外でも)、利便性を追求したために気づけたことかもしれませんが、自然環境や人間社会など地球全体規模での共存を模索する流れが生まれています。

いち個人のこだわりがコーヒーを通じて、経済や社会問題への大きな視野に広がって、それがいつかコミュニティ全体にまで良い影響を与える可能性があるなんて素敵だなぁ...と。(もちろん実際にある色々な問題は、ここで言えるほど簡単ではないと思います、、)

僕の社会問題への知識や、文化への貢献、その行動に対する矛盾はまだまだ棚に上げた状態ですが...。長い前置きになりましたが、好きなモノ・コトの始まりを体験することは、カルチャーをより良いものにしていくきっかけになります。

チェリーからカップまでを体験したワークショップのお話、宜しければ最後までお付き合いください。

乾燥

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手網焙煎機での乾燥は、油断していると焦げてしまいます。

コーヒーチェリーの収穫、コーヒー豆を精製(コーヒー豆の状態にする)した後の工程です。生産国のコーヒー農園とはまた違う精製過程になりますが、ミューシレージを取り除いたあとは、手網焙煎機でコーヒー豆を乾燥させました。

パーチメント(内果皮)を取り除く

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コーヒー豆の外側に付いている殻のようなもの、それをパーチメントと呼びます。又吉コーヒー園のワークショップでは、お米の脱穀機を使ってその殻を取ります。

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高速で回転させていく過程で、殻が割れて分離していきます。

脱穀機にかけたあと

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コーヒー豆と殻が分離しました。それをトレイの上に乗せて...。

扇風機の風に当てます

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風の当てる位置や距離をはかりながら、風圧でパーチメントだけを飛ばすように...頑張りました。注意しながらやらないと、せっかく収穫・精製したコーヒー豆も飛んでいってしまいます。

ある程度飛ばしたらハンドピックで

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ある程度の殻を風で飛ばしたあとは、手でコーヒー豆をより分けていきました。写真のものは完全に殻が取れていないものもあったりしますが、やっとコーヒー豆とわかる状態までになってきました。

さらに選り分けて

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一緒に参加した友人は、乾燥工程で焦げてしまったものや状態の悪い生豆も取り除いていました。すると、たったこれだけに...。

手網焙煎

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ついに最終工程の手網焙煎の工程へ。僕らが普段飲むコーヒーはほとんどが、ロースター(焙煎機)と呼ばれるマシーンでコーヒー豆を焼きますが、ワークショップでは銀杏などを煎る手網焙煎機でローストしました。

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コーヒー好きには手網焙煎の愛好家もいると聞きますが、眼の前で変化していくコーヒーの香りや色。それを、五感で体感するのもなかなか乙なもの。

焙煎風景

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又吉さんに見守られながら、みんな手網をフリフリ。

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ガズコンロの上で直火焼きするのは意外と難しいもの。

一般的な焙煎機ではある程度密閉され熱せられた回転するドラムの中で、芯からしっかりと火が通るようにコーヒー豆は焼かれます。しかし、手網焙煎は密閉されていません。ですので、表面が焦げないように注意しつつ、なるべく中まで火を通すように振ったり直火との距離を調節する必要があります。

焙煎完了!!

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量が少ないせいもあってか、まあまあ焼きムラがありますね。

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それが気になる友人は、せっかくなのでとちょうどよい焼き具合のコーヒー豆を選んで、やっと完成!

チェリーからカップになるとき。

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コーヒー好きが集まったワークショップ、みんな思い思いにコーヒーをドリップしていきます。

二時間近くかかって、やっと一杯のコーヒーが完成。

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各々が収穫、焙煎後残った量は10g〜15gほど。ちょっとこだわりすぎて除けてしまったのも多かったので、思っていたたより少ない仕上がりになっちゃいましたね。

又吉コーヒー園特製のコーヒージャム

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コーヒーのお供に、又吉さん特製のコーヒーチェリーを使ったジャムを出してくれました。将来的には商品化も考えた試作品のようですが、日本のさくらんぼのような優しい酸味と甘さがとても美味しかったです。

人のこだわりやそのカルチャーが、コミュニティ全体を良くするきっかけになるかもしれない。

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今回のワークショップを紹介するにあたって、「農園や生産者へのリスペクト」「コーヒーを消費する先進国の問題」「世界を良くするきっかけになるカルチャー」と、気づけば3つのテーマができていました。

専門家でもない、いち消費者目線での紹介になりましたが、コーヒーカルチャーに触れることの楽しみを知れたワークショップでした。コーヒーを楽しむ文化は昔より広がってきていると思います。コーヒー好きがより楽しく、より良い方へ向かうワークショップでした。僕と同じようなコーヒーファンはぜひ体験してみて欲しいですね。

AllSync

ワークショップとは別に、沖縄の食文化も満喫しました。