
学校帰りにいつも通った小さな神社。
くりっとした大きな目の下に、すこしだけ目立つアザを持った彼とはいつも、ここに来るときだけ一緒だった。彼はいつも自慢げに賽銭箱の中から小銭を取り出してはスルリと持ち帰る。気弱な僕はそんな彼の蛮行を見て見ぬふり...することも、彼と同じ悪行に手を染めることもできずに同じ仲間のフリをする。ある日、模擬試験帰りのデパートでご褒美のランチを食べようとしたとき、偶然、彼も母親と一緒に同じような名目でお店の前で出くわす。
少し照れくさそうに久しぶりに目を合わした僕たちは、特に話をするわけでもなく両親の会話に耳を傾ける。いつも粗野で少し乱暴だった彼も母親に甘える素振りを隠そうとしながら、つまらない勉強後のご褒美を心待ちにしているのがわかる。目の下に少し目立つアザのあった彼。そんな彼を見て神社で会う粗野なイメージしかない僕は、何ら変わりない普通の母親が好きな少年の姿に安心した。通っていた塾が一緒だっただけで、クラスも一緒になったことのない彼との記憶はもうそれ以降ない。神様も信仰心も年に一度行われる夜祭りのためでしかなかった少年時代。
僕の神社に対する思い出といえば、何故かそれくらい。
時が経てば望まなくともみんな、立派な大人になる。子供の頃は公園と同じだった神社が、酸いも甘いも経験するとその様相も変わってしまう。15ヶ月を超えた我が子との初めての旅、ベビーカーをごりごり押しながら神様の通り道を走破しつつ(神様、その節は大変失礼いたしました)、インバウンドと日本人観光客と子守りに揉まれながら宮島をフォトウォークしてきました。写真多めですが、その分サラッと読める記事なのでお付き合いしてやって下さい。
↓↓この記事の使用機材はこれです。
人生初、観光で降り立つ広島。




予想してた以上に、赤ヘル軍団ともみじ饅頭と宮島にインパクトを残された初の広島旅。今回は旅の一部、宮島・厳島神社の風景を載せようと思います。
宮島へはフェリーに乗って上陸。






宮島へ渡る交通手段はフェリーのみ。世界遺産もある有名な観光地だけに船便は三社が運行、約三十分に一度は渡れるようになっています。交通系ICカードがあればチケットレスで電車の改札を通るように利用できました。
人口1,800人の宮島、年間300万人の観光客が訪れる。




島内は僕が思っていたイメージよりだいぶん広く、島内には千人以上が住んでおり、たくさんの宿泊施設もありました。日本三景の一つで江戸時代中期から観光地として有名だったそうです。スタバにクラフトビールのお店まであって、時代遅れ感はない現代的にも豊かな観光地でした。
大鳥居のすぐ傍で潮干狩りする人々と鹿さん





宮島の中にある厳島神社。大鳥居が建つ浜の周辺では潮干狩りが有名で、神社の敷地外となる大鳥居の外側では家族連れで賑わっていました。世界遺産にもなっている大鳥居の横で潮干狩りという、知らなかった僕には一見シュールな観光スポット。神社観光で嬉しかったのが車椅子で参拝できるほどバリアフリー化されていたこと。GW初日ということもあってたくさんの人はいましたが、子連れのベビーカーでも問題なく観光できました。
朱塗りが美しい境内へ







満潮時には境内通路である廻廊まで潮が満ちてくる。その海に浮かんでいる映像が印象的な厳島神社。厳かでありながらたくさんの観光客を迎え入れる世界遺産はとてもフォトジェニック。
平舞台、反橋、大鳥居、廻廊、火災通報装置







大鳥居へ接近。








大鳥居へは傍まで行くことができ、子供連れの僕はベビーカーでなんとか接近しました。昼間は干潮の時間帯なので満潮を撮影するのなら宮島内に滞在しないといけないんでしょうね。またいつか調べて撮影に来たいと思います。
町家通り



宮島の名所は厳島神社だけではありません。江戸時代初期に最も華やいだメインストリートだった町家通り、時が経って戦後の頃から娯楽施設はなくなり島民の生活通りに。現在は、江戸時代から戦前までの町家建築が注目され散策スポットの一つになっています。
表参道










宮島観光の定番コースの表参道商店街。ここに宮島の有名な飲食店からもみじ饅頭屋さん、カフェやお土産屋さんが集まっていました。地ビールのお店、広島産レモンを使ったカクテル専門店まであって、宮島のイメージが変わりました。
商店街から宮島桟橋に戻りまたフェリーへ。









ちゃんと下調べもせずに、厳島神社があるから宮島に上陸。ちゃんとスケジューリングしなかったので半日という滞在時間は全然物足りなかったですね。厳島神社の満潮の写真を撮りたければ宿泊も必要でしょうし、たくさんある飲食店、厳島以外の寺社仏閣、弥山(みせん)にある標高535mの展望台、そしてロープウェイや水族館もあって写真を撮るなら盛りだくさんの宮島。
帰りは車椅子の方に配慮された客室もあるフェリーに乗ったのですが、便数もたくさんあるのでベビーカーでも気軽に乗船できました。世界遺産もあるため観光客も多く利便性が高くて驚いたのですが、宮島内の宿泊も視野にじっくり一泊二日の滞在でも十分に楽しめると思います。今回の旅では足早にまわりじっくり写真を撮ることはできなかったので、次回は色々とロケーションを考えてから観光したいと思います。
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山頂からの見晴らしが最高のようなので、次回はそこにも行ってみたいです。