オスロから世界のコーヒーシーンを賑わすティム・ウェンデルボーが、現在取り組んでいるコーヒーの話を聞いてみたくありませんか?
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先日、京都にておこなわれたティム・ウェンデルボーの出版記念イベントの記事をアップしました。関西のコーヒーに携わるであろう人々が、京都・元田中にあるウィークエンダーズコーヒーに集結した熱いイベントでした。
今回は、ティムがトークイベントで話してくれた内容を記事にしたいと思います。コーヒーへの関心が高まること間違いなしの、とっても面白い話でした。
「Coffee journey with Tim Wendelboe」 at WEEKENDERS COFFEE Fall 2015(前編)
img via : Why Did World Barista Champ Tim Wendelboe Buy a Coffee Farm in Colombia? - Eater
ティムはかねてから、コロンビアのウィラにあるFinca Tamana(タマナ農園)というコーヒー農園で、オーナーのElias Roaさんと共にコーヒーをより美味しくするため、生産方法についての助言をおこなったり、その過程において様々な改善をしました。
そしてティムは、コーヒーを育てることにも興味がわき、Finca Tamanaの傍に空いていた土地を購入し、自分でもコーヒーを作り始めたというのが、今回のトークイベントの主な内容です。
実際にティムが喋ったのは、通訳した女性(フグレンスタッフ)の話も合わせて30分くらいだったでしょうか。ティムが英語で喋ってくれたことを意訳してみました。
ティムがFinca Tamanaで改善した3つの生産過程
1.完全に熟したチェリーのみを収穫すること
img via : Improving quality in 4 days at Finca Tamana - Vimeo
- Improving Cherry selection
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今までコロンビアでは、コーヒーの実を摘み取る際、未熟な実も成熟した実も、熟れすぎた実も、全部一緒に混ぜていました。
でも私達はそれをなくし、成熟した実と熟れすぎた実を収穫し、成熟した実の豆だけを使うようにしています。今日お飲みいただくコーヒーも全て、成熟した実だけを使って焙煎したものです。
成熟した実だけを使うと聞くと、当たり前のように感じるかもしれませんが、ピッキングは大変な作業ですし、ピッカーと呼ばれる収穫作業員の給料も高くないので、これを実践するのはとても難しいことです。
それでもこれまで訓練を重ねることによって、美味しいコーヒー豆を収穫できるようになりました。
2.ソーキング(水につけて発酵させる)の時間管理
img via : Improving quality in 4 days at Finca Tamana - Vimeo
- the coffee soak in clean water for 24 hours
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コロンビアは伝統的な水洗式の精製方法ですが、果肉を除去した後のぬめりを取る分解の過程で、今までは時間を測らず発酵槽に浸けたままにしていました。
皆ほかにやるべき仕事がたくさんあるからです。それで、時間を測って工程を厳しくコントロールするよう改善しました。
今はケニアの農園主とも同じ行程を行っていますが、この過程によってコーヒーがよりキレイになり、新鮮で美味しく、また品質を保つ期間も伸ばすことができています。
これらはとても簡単なことで、そこまでお金もかかりませんし、仕事が煩雑になるわけでもありません。それでもこの新しい収穫方法でコーヒーはより甘みを増し、精製工程でよりキレイに、美味しく、長持ちするようになりました。
3.穏やかに時間をかけて、均等に乾燥させる
img via : Improving quality in 4 days at Finca Tamana - Vimeo
- Drying coffee
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これまでコロンビアの豆は、時間が経つと木のような味が出てきました。
それは、コロンビアのコーヒー豆に特有なのではありません。人の手が入る工程で何かが間違っているからなのです。これを改善するためには、乾燥の過程にヒントがあると考えています。
普通コロンビアでは天日干しで6日から7日という短期間で乾燥を行いますが、私たちはもっと穏やかに、均等に乾燥させる方が美味しさと新鮮さを保てるのではないかと考えています。それで現在は、日陰で20日から25日間、徐々に時間をかけて乾燥させています。
成熟した実だけを収穫すること、分解の時間をコントロールすること、乾燥を穏やかに時間をかけること、この3点を改善することにより、コーヒーの味に大きな変化が生まれました。
トークイベントの前半は、Finca Tamanaで改善した3つのことを、プロジェクターに写真を投影して説明してくれました。
コーヒー生産のプロセスを見なおして美味しいコーヒーを作るという、バリスタの領域を超えたティムの取り組みに感心させられっぱなしの前半でした。後半はさらにコーヒーを育てるということに注力したティムのお話になっていきます。
バリスタを極めて、コーヒーの生産にまで行き着いたティムのお話。次回も読み応えがあるお話なので期待して下さい!